「女性にも性欲はある」という言葉に感じる違和感

あおいです。
「女性にも性欲はある」

と、当たり前のように言われます。多くは、「だから何らかの方法で解消しなければならない」という論説とセットです。

たぶん多くの人は、女性向け風俗や性感マッサージを利用する女性は、「性欲の解消が目的」と思っているのでしょう。

でも私は、それは絶対に違うと、強く感じます。
女性の性欲は、それほど単純ではないからです。

漠然とした人恋しさのようなもの

「性欲」だけにとどまらず、あらゆる欲求はとても個人差の大きいものです。

たとえば、物欲。洋服ひとつとっても、毎日違うコーディネートでファッションを楽しみたいという人もいれば、スティーブ・ジョブズやザッカーバーグのように、毎日同じ服装に価値を見出す人もいる。ジョブズが昨日も今日もタートルネックにジーパンだからといって、誰も文句を言ったり、けなしたりしません。

多いから優れている、少ないから劣っている。あるいはその逆でも全然なくて、すべては「個人の好み」に集約されるのだと思います。

性欲の話に戻しましょう。
たとえば私は、雨の日の朝にいわゆる性欲を感じることが多いような気がします。

朝、たいてい6時半ごろ、タイマーで目を覚まして、湿度とカーテン越しの光の弱さに「あぁ、今日は雨か」と思います。「起きたくない、もっと寝ていたい」「会社に行きたくない」と社会人であれば誰でも感じるような気持ちと同時に、人恋しさ、寂しさ、寄る辺ない孤独感を覚えます。

ぼんやりと、誰かの体温を感じたいと思う。抱きしめて、優しく頭を撫ででほしい、「大丈夫だよ」と言って、背中をトントンと叩いてほしい。

その延長線上で、胸を揉んで、硬くしこった乳首を指で転がしてほしい。するするとパジャマを脱がして、下着の中にそっと手をすべらせてほしい

忙しい日々の中で、忘れてしまいがちだけど、雨の日の朝や、排卵日前後、生理前などに、トントン扉を叩いて、「私は女なのよ」と主張してくる。

私にとっての性欲は、週刊誌やまとめサイトの見出しのようにハッキリとしたものではなく、もっとつかみ難い、不確かな感覚です。

このもやもやとした気持ちを、「性欲」とひとくくりにしてしまうのは、あまりにも乱暴なのではないかと思うのです。

方便としてのセックス

4歳になる姪っ子がいます。かわいくてかわいくて、おばさんという立場の気安さもあり、会うたびになで回しています。

彼女の小さくて柔らかな身体を抱いて、甘いにおいをかぐととても幸福な気分になります。抱っこしたり、手をつないだり、頭やほおをなでさせてくれるのも、あと何年なのでしょうか。

大人になると、こんなふうに無心に人肌にふれることはほとんどなくなります。家族や友人でもないし、異性だったら特にそうでしょう。

『タッチハンガー(touch hunger)』という言葉があります。直訳すると、「ふれあいに飢えた人」という意味です。

「性欲を解消したい」わけではなく、「ふれあいたい」だけなのかもしれない。求めるのは、心も、身体も満たされるほど深いふれあいです。

他に言葉がないから、この気持ちを「性欲」と名づけ、方便として、私たち大人は「セックス」をするのかもしれません。

「わたしにふれてください」

最後に、私の好きな詩を紹介します。もともとはブラジルの助産院で、若いお母さんのために詠まれた詩だそうです。

詳しくは後述しますが、セックスレスで悩んでいたときにこの詩を読んで、思わず泣いてしまいました。

私の原点となった、大好きな詩です。

もしわたしがあなたの赤ちゃんなら
どうぞ、わたしにふれてください 
今までわたしが知らなかったやさしさを
あなたからもらいたい
おふろにいれてください
おむつを替えてください
おっぱいをください 
きゅっとだきしめてください
ほおにキスしてください
わたしの体をあたためてください
あなたのやさしさとあなたのくれる快楽が
わたしに安心と愛をつたえてくれるのです
 
もしわたしがあなたのこどもなら
どうぞ、わたしにふれてください
いやがるかもしれないし、拒否するかもしれないけど、
何度もそうしてください
わたしがどうしていやがるのかわかってほしいから
おやすみなさい、と抱きしめるあなたの腕が
わたしの夜を甘くしてくれる
昼間に見せてくれるあなたのやさしさが
あなたの感じる真実を伝えてくれる 
 
もしわたしがあなたの思春期のこどもなら
どうぞ、わたしにふれてください
もう大きくなったんだから、なんていわないでください
あなたがわたしにふれるのをためらうなんて思いたくない
あなたのやさしい腕が必要です
あなたのおだやかな声を聞きたいのです
人生は困難なものと、わかった今
わたしの中の小さなこどもがあなたを必要とするのです
 
もしわたしがあなたの友達なら
そうぞ、わたしにふれてください
あなたが抱きしめてくれると、
わたしはあなたにとって大切な人だとわかるから
あなたのやさしさが、おちこんでいる私も、
かけがえのない存在であることを
思い出させてくれるから 
そしてひとりではない、と思い出させてくれるから
わたしにやすらぎをあたえてくれるあなたのありよう、
それだけがわたしが信じられるもの
 
もしわたしがあなたのセックスの相手なら
どうそ、わたしにふれてください
あなたは、情熱さえあれば、十分と思うかもしれない
でも、あなたの腕だけが、わたしの恐れをとかしてくれる 
あなたのやさしくおだやかな指先をください
あなたにふれられて、わたしは愛されているということを
思い出すことができる
わたしは、わたしなのだ、ということを
思い出すことができる
 
もしわたしがあなたの大きくなった息子なら
どうぞ、わたしにふれてください
わたしには、抱きしめるべきわたしの家族はもういるのだけれど
それでも傷ついたときには、
おかあさんとおとうさんにだきしめてほしい
おとうさん、あなたといるとすべてがちがってみえる
わたしが、たいせつなわたし、であると
思い出すことができる
 
もしわたしがあなたの年老いた父親なら
どうぞ、わたしにふれてください
あなたが小さかったときに
わたしがあなたにふれたと同じように
わたしの手をにぎり、わたしのそばにすわって、
わたしを力づけてください
わたしの疲れた体によりそい、あたためてください
わたしは随分しわくちゃになってしまったけれど、
あなたのやさしさに力づけられる
 
どうぞ、何もおそれないで
ただ、わたしにふれてください 
 

「わたしにふれてください」フィリス・K・デイヴィス(三砂ちづる 訳)

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>30歳女性の3人に1人が処女・バージン

30歳女性の3人に1人が処女・バージン

30歳女性の、3人に1人は処女といわれています(性経験のない女性の割合は、25~29歳で32.6%、30~34歳で31.8%〈2015年厚生労働省出生動向基本調査〉)。

恋愛もセックスも自由な今、3人に1人という数字は意外と多いと感じられる方が多いかもしれません。
「機会がない」「セックスしてもいいと思うような相手がいない」「その気になれない」など、その理由はさまざまですが、実は少なくない女性が「男性嫌悪や不信」「性的なトラウマ」「痛みや出血への恐怖」などの悩みや不安を抱えていることはあまり知られていません。

年齢を重ねれば重ねるほど、処女の十字架は重く女性にのしかかっていきます。
ある40代の女性は、処女であることについて、「40歳でバージンなんて正直気持ち悪いし、引くと思います。だからこれは、絶対誰にも言えません。私ひとりで抱えるしかない最重要機密です」とおっしゃっていました。
処女という十字架を背負っているのは、決してあなただけではないのです。

女性用風俗ムツゴトのお客様で30代のバージン女性、仮にA子さんとします、はこんなことをおっしゃっていました。
「私は処女、恋愛経験もゼロで、彼氏がいたこともありません。仕事に追われて、家に帰って寝るだけの生活。自信が持てなくて、家庭を持つ女性にいつも劣等感を感じていました。このまま異性と一切無縁の人生を送るかと思うと、絶望的な気分になります」

常に『女性としての自分に自信が持てない』『消えてなくなってしまいたい』という強迫観念にかられ、未経験であることについて、なんとも説明しがたい心のわだかまりがあったとA子さんは言います。
ベッドの中で抱き合った後、A子さんは「ずいぶん久しぶりに、人に甘えたような気がします」
と、ため息を漏らしました。

A子さんは、「『女』を出してはいけないと、ずっと自分に言い聞かせてきました。人に頼ったり、甘えたりしてはいけない、そんなことをしたら自分がガラガラと崩れてしまうと思い込んでいました」と言います。
「怖かったですか?」 と、聞くと、
「いえ、実際、怖いことは何も起こらなかったし、弱い面や、もろいところも含めて、私は私のままでいいと思うことができました。自己否定の固まりだった自分を、少し肯定できるようになったような気がします」
とおっしゃいました。
処女をいつ卒業するかは、個人的な事情であり、これまで機会がなかっただけで、何歳であっても、まったく遅くはありません。

30代、40代以上で処女の方は特に、人一倍まじめで、努力家の方が多いように感じます。自分の楽しみは後回しにて、人のため、会社のため、家族のために時間を使ってきたのではないでしょうか。
明日からはどうぞステキな時間を過ごされることを、自分で自分に許してあげてください。