30代のお客様がムツゴトを利用することになった経緯
私は生きている実感が湧かない
ただ生きているだけで精一杯の感じがする。年齢が離れた末っ子なので、自分の好きなことを放任されてきたが、幼少期から否定され続けて育った。気持ちを理解してくれる大人が身近にいなかった。家庭も学校も逃げ場がない。感情を封じて無感情に振る舞わなければ生きていけない状況だった。しかし、その無感情な態度で学校に通っていると、親や教師から称賛される。本当は嫌だが、本音を抑えると叱られる。いつしか自分自身の本当の気持ちがわからなくなってしまった。
協調性はあるが、避けて通るような生活を送ってきた。しかし、実際は苦しく、どう進むべきか分からない。周囲からずっと褒められることをやってきたが、全く楽にはならない。辛いことを我慢していいことをしているつもりだったが、ますますつらさが募り、常に緊張し、他人が怖くてたまらなかった。自分の意志とどこまでが他人の期待かがわからなくなっていった。こうしたストレスのために過食や拒食の症状が出ることもあった。
周囲に合わせるうちに、自分自身としての存在を見失ってしまった。ゼロから出直したいと思うほどだ。自分自身を肯定することが難しい。
子供のころ、学生時代、そして引きこもり
自分の話を聞いてくれる人は誰もいなかった。自分そのものを否定され続けたため、引きこもってしまい、逃げ場がなくなった。無理に合わせると身動きが取れなくなる。楽しいことがあると、自動的にそれを否定してしまう。仲間外れになりたくないため、友達が好きなゲームやBLに付き合ってきたが、やっているうちに自分自身がそれを好きなのかどうか分からなくなってきた。それでも居場所を保つために必死に合わせてきた。
女性特有の社会的な立ち位置の難しさもあった。自分が嫌いだから、他のスッキリした友達のように振る舞ったり、自己を見失ってさまよったりした。自分に関することを話すと嫌われてしまうという恐れが常にあった。家族の冷たさも自分が悪いからだと思い込んでいた。どれだけ頑張ってもこの状況から脱出できないと感じていた。
高校から学校に行かなくなり、話す相手がいなくなり、少ない友達とも連絡を絶ってしまった。誰とも連絡を取らず、家に閉じこもったままだった。仕事もしていない自分がダメだと感じ、恐怖に怯えていた。
何とかしてゆきたいとの焦り
30歳手前で焦りが募り、就労支援を受けることにした。
初めは親身に対応してくれて、人生で初めて優しさを感じた。しかし、その支援先が経営する学校に入学させることが目的で、最終的に高額な入学金が必要な寮に入るよう勧められた。宗教的な施設で、寄付を求められることもあった。情報が少なかったため、そこにに頼るしかなかった。
数年間その施設で過ごしたが、これではダメだと思って精神科に往診した。田舎のお医者さんだったからかもしれないけど、「誰かに甘えたかった」と女医さんに相談したら、「それは男の人を買うしかない」と言われた。
もうダメだ、、最後の手段だと思って、ずっと見ていたムツゴトのカオルさんに会うことにしました。
たぶんムツゴトは「添い寝しながら、カウンセリングするサービス」なのだと思う。
なぜ平和な日本でこんなに生きづらさを感じるのだろうか?
僕は仕事柄、多くの女性と会っています。なぜこんなにも多くの女性が生きづらそうにしているのか、その理由を考え続けてきました。例えば、2割の女性がメンタルの健康に問題を抱えているとしたら、それは個々の性格や特殊な事情に起因するものだろうと思うかもしれません。しかし、僕の感覚では9割の女性が何かしらの重荷を抱えているように思えます。むしろ、毎日を楽しんで、ハッピーに生きていると言える女性に出会うことのほうが稀です。
こうしたお客様たちとの会話から僕が思うことは、これは日本社会における女性の位置や役割に起因する問題が大きいのではないかということです。家族や周囲の環境が、どうあるべきかを押し付けてきて、その期待に応えるために彼女たちは自分を抑え込み、苦しむようになるのだと感じます。
単純でお手軽な解決法はない
ほとんどの場合、彼女たち自身も自分の感情がどうなっているのか、わからなくなって混乱しています。居場所がないと感じること、生きているという実感が湧かないということは、極めて深刻な問題です。僕はその方々との会話を通じて、彼女たちのストーリーを共有し、共感することが重要だと思っています。
原因を突き止めることよりも、すべての経験や経緯が複雑に結びついている現在の状況との関連性目を向ける必要があります。
それは心の奥深くに刺さっている棘をひとつひとつ抜いていく作業です。20年以上前に心無い友人に言われた一言、それがずっと抜けなくていまも辛くなってしまっている、でもご本人もその棘がどこに刺さっているのか、そんなものがあるのすらもわかっていない、、ということなのです。
したがって、簡単な解決策は存在せず、時間をかけて少しずつ前進し、一緒にその棘を探してゆき、それを抜いたらちょっと楽になったねということを確認してゆくことが大切です。
一般的なカウンセリングではなぜ問題を解決しづらいのか?
おそらく、カウンセリングを受けている方々はこのような相談はよく耳されている話だと思います。
ただ、同時に何年もカウンセリングを受けたにも関わらず、何の進展もなかったという話もよく聞かれます。僕は心理学の専門家ではありませんし、医師でもありません。従って、何か解決策を提供できるわけではありません。しかし、違いがあるとするなら、以下の点ではないかと思います。
まずその女性の方と性的な関係にあることです。肌を触れ合わせることや、対面で会話するだけではない、特別な関係性がここにあると思います。以前のブログ記事でも取り上げましたが、性的な側面は、コミュニケーションの質や量、相手への信頼感を向上させる何かが存在すると考えられます。
そしてなぜか、男性が鍵を握っているように思います。このお客様は、幼少期に優しいお父さんがいて、その存在が救いでした。しかし、そのお父さんが亡くなった後、権威的なお兄さんが支配的な存在となり、彼女はますます自分の場所を見失い、苦しむようになりました。お兄さんと似たような男性に出会うと怖くなって固まってしまいます。
僕は彼女にとって名前も知らない男性ですが、信頼して、心を開いて話してくれるようになって、すこしでもこの世界が楽しいと感じてくれるようになったら嬉しいなと思っています。