いい子が悩んでしまう構造とは
僕がお客様と接していて感じるのは、幼い頃から優等生で、親や教師の言うことをよく聞く「いい子」だったという女性が多いということです。大人になり社会に出てからも、上司や周りの人の期待に答えようと、「いい人」を演じてしまうのです。それで、真剣に悩んでしまっている女性が多いように感じています。
でも「いい子」「いい人」の基準は、非常にあいまいです。矛盾しているといってもいいでしょう。
特に、男性に比べ、女性は、親から相反する期待(ダブルバインド)をかけられやすいものです。
いくつか顕著な例を挙げてみましょう。
仕事と結婚についてのダブルバインド
「今は女性も仕事を持って自立する時代。いい人がいなければ、無理に結婚しなくてもいい」
両親など近親者が期待する「現実」 「結婚して、子どもを産み、人並みに幸せになって欲しい」
学校と家庭でのダブルバインド
学校で先生がおっしゃること
「勉強をがんばれば、将来好きな仕事に就ける。夢に向かってがんばりなさい」と言われ、多くの女子が男子と同等に受験競争に駆り立てられています。
家庭で両親から言われること
「勉強だけできても仕方がない。女の子は、あまり学歴が高いと結婚が難しくなる」 素直ないい子ほど、「がんばれ」と、「がんばるな」という両極端な命令に、混乱してしまいます。
学生時代と社会人でのダブルバインド
学生時代に両親が言うこと
「学生なのだから門限があるのは当たり前。」 「恋愛とか遊んでいる暇があったら、将来のためになることをしなさい」
社会人になったら両親から言われること
「彼はいないの? 早く結婚したほうがいい。孫が欲しい・・・・」
そんなこと、急に言われても困りますよね。
学生時代は、「絶対ダメ」だった男女交際が、社会人になったとたん「しなさい」に変わります。
そして、30歳を過ぎる頃には、「何で結婚しないんだ、早くしなさい」と言われる訳です。
恋愛やセックスを「しても」「しなくても」ダメ。まさにダブルバインドですね。多くの女性が困惑してしまうのもうなずけます。
大人になってからも、親のいうところの「いい子」にとらわれ、それ以外の自分は「悪」だと思い込んでいる女性は多いです。両親はいつしか彼に変わり、そして最後には旦那さんになることもあります。
「いい子」とは、親の願望や期待を映し出した幻、呪縛に過ぎないと、僕は考えています。本当の自分は、「いい子」ではないし、「いい子」でいる限り、幸せはやってこないのです。
親の望む「いい子」から外れた生き方をすることに、罪悪感を覚えたり、自己否定を感じたりする必要はないのです。
次回、ダブルバインドから抜け出そうとしたお客様のお話をしたいと思います。